425961 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

ミーコワールド

ミーコワールド

 

     「Ⅲ」

その後、T君は関東の実家へ帰り、家に戻らないまま

精神病院へ入れられました。 T君の友達が後日訪ねて来て

教えてくれました。 その友達をU君としておきましょう。

U君は尋常でなくなったT君が心配になり、自分の家に

連れて帰った事もあると言いました。

「あんなに同じ事ばかり言うのはやはり真実なんじゃないか」

「食べ物に何か入れられていたんじゃないか」

「他の友達は尋常でないT君から去ってしまったけれど、僕は

T君の話を信じている。 そうでなかったらT君がかわいそうだ。

精神病院へなど入れたら、まともな人まで病人にしてしまう

のではないか」

「何とか助けたいと思っているので全部話して欲しい」

と言いました。 私はU君に全てを話しました。

「そうですか。やっぱりT君の言う事は本当だったんですね」

と言って肩を落としました。

でもお母さんが保護者になっている以上日本の法律では

どうしようもないのです。

その後、U君からやかましく言われたからと言って

お母さんから電話がありましたが「うちの息子は気が狂って、

あるはずのない事を言うのです。

うちの息子の事は誰にも言わないで下さいね。

お世話になりました」という事だけでした。

今でもT君の事は心配しています。 助けて上げられなかった。

T君の前にも男の人が下宿していました。35歳くらいの人です。

Kさんとしておきます。Kさんもある日突然、引き払いました。

次のような言葉を残して。

「先生、僕、今日で住所不定になります。 仲良くして貰って

ありがとう。 もし、僕が殺されたと知ったら、あこの塾の人間

を調べて欲しいと警察に言ってね」と。

この人の時にはまだ大した事件らしい事件はなかったので警察も

動く事ができなかったのです。 

Kさんの友達がたまたま私の後輩だったのでその後の消息は

聞く事ができました。 Kさんも私の事を心配して「先生に

もしもの事があったら僕が警察へ行く」と言ってくれて

いたようです。

日本人に話してもわかって貰えないし、異常な事件については

日本の警察ではダメなのでアメリカへ行く、と言っていた、と

私の後輩は言いました。 それでも私に異変があったらすぐ

帰って来ると言ってくれたという事でした。

私には何もなかったか、って・・・?

とんでもありません。 警察を呼ぶ事が何度もあり、外へ出る事

もできない状態が何度あったかわかりません。

警察官が送ってくれた事もありますし、店が何度も襲われました。

シャッターは壊される、植木はメチャクチャ、車は壊される、

車を降りて店の入口まで10数歩しかないのに店に入れない。

玄関を掃除している私をめがけて車が突進してくる、私の車に

細工されて事故寸前になった事もあるのです。

いつも証拠がありません。 目撃者もいないのです。

異常者の犯罪とはこんな物なのです。

私は毎日、今も毎日祈っています。 

「彼らが普通の人になれますように」と。

祈りしかありません。
次へ




© Rakuten Group, Inc.